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デジタルグリッドとの出会い

東京大学の講義で見た、あるスライドがきっかけでした。
このスライドでは、世界中で1年間に消費されるエネルギー量の200倍以上という圧倒的なエネルギー量が、太陽光・風力・水力といった地球の資源から賄え、地球が存続する限り半永久的に利用可能であることが示されていました。

原油の埋蔵量も石炭も天然ウランも、再生可能エネルギーの年間発電可能量の半分にも遠く及ばないし、そもそも使ってしまえば無くなってしまう。
でも再生可能エネルギーは、どれだけ使っても使いきれない膨大な量なんです。

つまり、エネルギーの限界費用はどんどんゼロに近づき、エネルギー制約にとらわれず自由にエネルギーを使える世界が理論的には可能だということです。
これは省エネの発想とは全く逆で、エネルギーをふんだんに使って新しい技術やシステムを発明し、イノベーションをどんどん起こしていける未来を意味するんです。
この事実を知った瞬間、僕の中で大きな世界が開かれた気がしました。

この講義をやっていたのが、東京大学の阿部特任教授(当時)です。阿部先生が2008年に発想した「デジタルグリッド」という壮大なコンセプトは、
電力に色を付けて自由にやりとりできるもので、これは再エネのポテンシャルを活かすものだと感じました。
阿部先生と卒業後も定期的な面会を続けていたのも、こうした未来への可能性について語り合うのが本当に楽しかったからなんです。

エネルギー制約解放とは(2010年東京大学講義資料より抜粋)エネルギー制約解放とは(2010年東京大学講義資料より抜粋)
最高の仲間と熱狂できるものを

行動の源泉は「ワクワクするか」

「ワクワク」を求めてデジタルグリッドへ参画

新卒では何よりエネルギッシュで熱量の高い人に魅了されて、ゴールドマン・サックス証券に入社しました。ゴールドマンでは、大手企業に対して為替やクレジットのデリバティブ商品を販売する仕事を1年ほど行った後、「実は金融は苦手かもしれない…」と感じ、もう少し手触り感のあるチームに移籍させてもらいました。

当時、2011年3月11日の震災以降原子力発電所が全て止まってしまっていたので、「再生可能エネルギーを増やそう」という社会の風潮の中、我々も再生可能エネルギー発電所に投資していたのですが、これがものすごく楽しかった。
地権者・土木設計者・電気工事士・役所・共同投資パートナーと多くのステークホルダーを巻き込み、今まで何もなかった土地に発電所を作るというモノづくり感と、何より学生時代に思い描いた世界に近づく感じに日々ワクワクしていました。
「事業や実業のことをもっと知りたい!」という想いを胸に、出資後のハンズオン支援が業界でも手厚いインテグラルというPEファンドに転職しました。自分が良いと思ったものに株式投資をし、事業にどっぷりつかるという経験は学びが非常に多かったです。
そんな中、恩師である阿部先生から連絡があり、「豊田君、このプロジェクトはいけるよ」と満を期したかのような表情でデジタルグリッドの事業計画を話してくれました。
正直、事業計画に蓋然性があるかも定かではなく、まだまだ「いけるよ」と言う段階ではないとすぐ分かりました。まともに給与が出ない可能性も十分にあるなと直感的に感じました。

阿部先生も「豊田くん、来てよ」とは言わない。

それでも「先生、やりましょう! いまからファンド辞めてきますよ!」と自分から切り出したのは、「面白そう!」という気持ちが勝ったからです。
大学時代に出会った再生可能エネルギーの無限のポテンシャルと、デジタルグリッド技術によって、エネルギーがタダになる未来、子供たちがエネルギーの制約なく自由にイノベーションを生み出していける平和で楽しい未来を創れる。そのワクワクする可能性に賭けたかったんです。

最高の仲間と熱狂できるものを

会社の資金が底をつき、あわや倒産というタイミングで社長に就任

どん底での社長就任

私がデジタルグリッド社に創業メンバーとして加わった時点では、実は社長ではありませんでした。社長になったのは、会社の資金が底をつき、あわや倒産という、普通なら就任を遠慮したくなるタイミングだったんです。
銀行口座は空っぽ。システムがあと少しで完成するのに、そのために必要な資金が調達できない。まさに危機の真っただ中で社長に就任することになりました。
返済期限まであと20日、全額が集まらなければそのまま倒産する。
VCやエンゼル投資家に出資を頼みに回ったけれど、ほとんど断られてしまうんです。
一方で、株主からのプレッシャーもあり、7月から9月まで3ヶ月間、給与の支払いができない状況が予見されました。

社員のみんなには正直に厳しい現状を伝え、辞める選択をしていただいても仕方がないと話さなければなりませんでした。

ところが、驚いたことに「給与がもらえなくてもいい、失業保険がもらえなくても業務委託という形で続けるのでもいい」と、思いがけない応えで、ほとんどの社員が残ってくれたんです。本当にありがたかった。
今思うと「いったいなんの根拠が?」と思うのですが、八割方、出資を断られ続けていた最中でも、なぜか「これだけワクワクするプロジェクトなんだからお金は集まるに違いない」と信じていたんです。
資金調達は結局ギリギリのところで出資者が現れて成功し、会社は継続が可能となりました。本当に間一髪でした。

最高の仲間と熱狂できるものを見つけてください

私のキャリアの転換点には「ワクワク」がありました。
先の見えないデジタルグリッドに飛び込んだのも、倒産寸前で社長を引き受けたのも心の底から「面白そう!」という気持ちが勝ったからです。人間、お金や名誉が目的なら他にも道があります。でも「ワクワク」は違う。これが本当の機動力になるんです。

もちろん、私も挫折の連続でした。でも「好きなことをとことんやり尽くす」人間は失敗を恐れません。失敗の恐怖より、挑戦の「ワクワク」が勝るから、「前を向いて倒れるまで走りきる」ことができるんです。
そして、その道のりには必ず「最高の仲間」の存在がありました。
仕事をする上で、私は自分が「熱狂」できるかどうか、そしてそれを「最高の仲間」と共有できるか、を大事にしています。

あなたが「最高の仲間と熱狂できるもの」は何ですか?
エネルギー制約から解放される未来も、子供たちが自由にイノベーションを生み出せる平和な世界も、結局は一人ひとりが「熱狂できるものを見つけて、とことんやり尽くす」ことから始まります。そして、それを最高の仲間と分かち合うことで、その想いはさらに加速し、大きな力になるのです。
皆さんも心から熱狂できるものを見つけてください!そして最高の仲間と共に、とことんやり尽くしてください!それが、自分の成長と世の中を変える力になると私は信じています。

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近清 拓馬の写真

創成期の渦の中へ──“後悔しない意思決定”で選んだ場所。エネルギーの未来を事業として前に進めることが、僕のミッション

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近清 拓馬

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「因果を解き明かす仕事が好きだ。」IRとして企業価値を高める挑戦と、デジタルグリッドで描く次の成長ストーリー

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“好き”と“違和感”に素直に――エンジニアから人事へ。変化を恐れない私が、デジタルグリッドで挑む“会社の未来づくり”

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