太陽光発電などの再生可能エネルギーによる電力はグリーン電力とよばれ、生み出した電気そのものの価値に加え、二酸化炭素を排出しないというプラスアルファの「環境価値」を持っています。
「環境価値」は、それを生み出す企業と消費する企業間で取引することができます。
最終目標は「環境価値」を流通させ、活性化しCO2を削減することです。
環境価値創出の由来ごとに、再エネ、省エネ、森林吸収の3種類に分けられます。
再エネ由来の環境価値はさらに、FIT非化石証書、再エネJ-クレジット、グリーン電力証書の3種類があります。
こちらの情報は、毎月第2月曜日に更新します。
再エネが欲しいという場合の実現手法を比較すると、つぎの表のようになります。
追加性の観点で再エネ設備導入が重要なことはいうまでもありませんが、安く手軽に再エネ活用を始めるには、再エネ価値を使ってみてはいかがでしょうか。
※以下の表はスクロールで隠れている場合があります
PV自家消費 | オフサイトPPA | 再エネ電力メニュー | 再エネ価値 | |
---|---|---|---|---|
手法 | 太陽光発電を自社施設の屋根や空き地に設置して活用。1kWあたり10~15平方メートルの設置スペースが必要。 | 自社敷地外に設置したPV出力の供給契約を締結。自己託送、フィジカルPPA、バーチャルPPAの3つがある。 | 電力会社が設定している再エネ電力メニューを選んで活用。 | 電力契約とは切り離し、必要分だけの再エネ価値を購入。 |
価格 |
約11円/kWh (再エネ賦課金・託送料なし) 15万円/kWとして15億円。17年で償却するとし、金利、メンテナンス費等を考慮。 |
約12円/kWh (電源部分のみ。別途託送料、 再エネ賦課金(自己託送の場合 は再エネ賦課金不要))再エネ部分のみ。全量供給とはならないためそれ以外の電力価格にも依存。 |
系統電力価格 価格は電力会社やメニューによって異なる。 |
系統電力価格 価格は再エネ価値の種類により大幅に異なる。取得方法によっても異なる。 |
手軽さ |
× 供給量に限界 大量の敷地が必要で、量の拡大に限界。長期設置が必要。逆潮する場合売り方を考慮する必要がある。 |
△ 長期契約が必要 調達量確保に時間を要するケースも。長期契約が必要で、スキームもやや複雑で慎重に方式を見極める必要がある。 |
○ 電力会社にお任せ 電力契約を選べば、再エネ価値の必要量の計算などしなくてもいい。 |
◎ 安い。手軽。 電力契約の切替も不要。自由に導入割合も変えられる。 |
価格変動 リスクへの 対応 |
◎ 系統電力より安い 電力区分により効果は異なるが再エネ賦課金もかからないことを踏まえると、系統電力価格と比較しても概して安い。 |
○ 調達量を拡張可 自家消費よりは調達量の制約が少ない。長期契約となるため将来の再エネ価値・電力価格変動の影響を受けにくい。 |
△ 割高 原価にかかる金額よりもプレミアムが載っている割合が大きい。電力契約の切替が必要。 |
△ 将来の市場動向の 毎年調達する必要があるため、市場価格の影響に曝される。制度の理解が必要。 |
次に、再エネ価値の種類ごとに特徴を比較すると、つぎの表のようになります。
現状は、量・価格面においてFIT非化石証書が有利です。
FIT非化石証書 | 再エネJ-クレジット | グリーン電力証明 | |
---|---|---|---|
電源 |
FIT電源 |
再エネ自家消費分 |
グリーン電力 |
価格 |
市場価格は |
市場価格は |
流通価格は |
年間 流通量 |
約1,100億kWh |
約11億kWh |
約4億kWh |
強み |
大量にあり、 |
蓄積でき、転売も可能(柔軟性がある)。温対法報告においてSCOPE1に対しても適用可能。 |
最も歴史ある再エネ価値で、ブランド力もある。次年度持越しも可能。 |
留意点 |
貯められず、その年度で使い切らなければならない。転売不可。 GHGプロトコルのSCOPE1※では使えず。 |
量が少なく、価格も高止まりしている。 |
量が少なく、価格も高い。転売不可。CO2削減を謳うためにはCO2削減相当量認証を受ける必要がある。 |
※温室効果ガス(GHG)プロトコルとは…
Scope1:
直接的なGHG排出
Scope2:
購入した電力や蒸気からの間接的なGHG排出
Scope3:
自社が所有管理していない発生源(購入した製品、使用したサービス、顧客による自社製品利用など)からの間接的なGHG排出
FIT非化石証書/再エネJ-クレジット/グリーン電力証書の活用先はつぎのようになります。
各種外部報告や、再エネ電力への切り替えが困難な電力消費に対し、再エネ化することができます。
使用できます。外部からの電力利用について、CO2排出量を減じて報告可能です。
SCOPE2の外部からの電力利用分について、全価値にトラッキング付与可能なためRE100に対しても再エネ利用を訴求可能です。
SCOPE2の電力に対して再エネ利用を訴求可能です。
部分的な電力消費量の再エネ化
限られたエリア
短期間
特殊な用途
電力供給契約の切替ができないテナントの入居者が、自身の使用電力を再エネ化・ゼロエミ化することが可能です。
短期間の電力供給契約が難しいイベントや工事現場の使用電力を、再エネ化・ゼロエミ化することが可能です。
EV充電などの電力供給を伴うサービスの使用電力を、再エネ化・ゼロエミ化することが可能です。
省エネ・森林吸収J-クレジットの活用先はつぎのようになります。
国内の温対法や省エネ法の報告、カーボンオフセットによる企業PRやブランディングに活用することができます。
自社の温室効果ガス排出量について、排出量を減じて報告可能です。
省エネJ-クレジットのみ、複数の企業が連携して実施する、「共同省エネルギー事業」の報告に使用可能です。
CO2オフセット
自社のCO2削減
CO2削減を
付加価値にした
サービス
自社の活動のなかでどうしても発生してしまうCO2をオフセットすることが可能です。
環境への貢献をPRすることが可能です。
自社が開発・販売する製品・商品・サービスを提供する過程で発生するCO2をオフセットすることが可能です。製品・商品・サービスのブランディングが可能です。
海外の再エネ電力証書はI-REC/TIGR、REC、GO、NationalSystems(国独自の認証制度)の4種類が運用されています。
I-REC/TIGRは主にアジア、アフリカ、中南米で取り扱われています。
弊社は、I-REC/TIGRを取り扱っております。
I-RECand/orTIGR 対象国一覧
2022年3月時点